「自己責任」主義って、獣の掟ですよね？

ネット上には、私のような非モテを心底憎み、陰で罵詈雑言を言い合うコミュニティがいくつかあります。
１つはいわゆる「リア充」と呼ばれるモテ層に属する、女に不自由した経験を持たない男たちによるもの。もう１つは結婚により安泰な勝ち組セレブ層に入りたいなど様々な理由から必要最低限のスペックを備えた男性（＝年収600万円以上[できれば数千万レベル]、公務員か、無理ならばサラリーマン[失職があり得ず年功序列で給料が上がるから]、イケメンで、欲を言えば２０代）を希求するものの全く見当たらないことからイライラを募らせた女性陣によるものです。

この人たちが我々非モテ男らに浴びせる言葉には、いくつか常套句があるのですが、「リア充」男性陣からよく聞かれるのは「非モテはガス室送りにしろ」。そして男女を問わず聞かれるのは「自己責任」という言葉です。

この「自己責任」という言葉は、非モテ男性の大半が経済弱者であるため、政府与党や財界に対して反抗的な発言を行う場合が多いことに対して発せられます。
すなわち、「下流になったのはコイズミのせいじゃねーだろ。ｗ」「てめーが低学歴で何の努力もしなかったからカネ儲けられねーのに、ＤＱＮだからすぐ何でもコイズミのせい。ｗ」「非モテは自己責任て言葉を覚えろよ。ｗｗｗ　あ、学歴ないから無理か。ｗｗｗｗｗｗｗｗ」
てな塩梅です。

「自己責任」主義は、サミュエル・スマイルズのSelf Helpを教典とする保守系評論家の先生方からしばらく前に布教が開始され、近年、にわかにブームとなっています。

はてなダイアリーにさっき記事を上げたのですが（http://d.hatena.ne.jp/poorie/20081026/1224953362）、橋下徹大阪府知事は先日、高校生らと私学助成金カットを巡って対談した際、次のようなやり取りを行っています：


橋下知事：今の世の中は、自己責任がまず原則ですよ！誰も救ってはくれない！
高校生：それはおかしいです！
橋下知事：それじゃ国をもう変えるか、この自己責任を求められる日本から出るか、国を変えるしかない。


この発言を見る限り、橋下知事という方は、典型的な「今風」の方と言えます。

しかし、自己責任主義者の皆さんが主張することを聞いていると、じゃあ政治家も官僚も全員不要なんじゃあないのかい？という疑問が湧き上がります。
前出の橋下府知事も、女子高生から陳情を受けた際、こう切り返しています：

「じゃあ、あなたが政治家になってそういう活動をやってください。」

この一言を挙げれば、これ以上、説明は要らないでしょう。
自己責任主義で行くと、例えば国に要望があるのなら、あなたが政治家になって勝手にやってくださいな、となる。
そうしない限り「誰も救ってはくれない」のですから。
でも、じゃあ今いる政治家のセンセー方とかって、何するためにいるんだか、意味不明ですよね？

かつて、こんなことを言ってのける自己責任主義者の方もいらっしゃいました：



この方などハッキリと、「労働基準監督署は不要です」と明言されていましたね。
やっぱり自己責任主義で行くと、政治家とか役人とかは不要になるわけですよ。


自己責任主義の方々はまた、かねてより医療制度改革も要求していて、まぁ一言で要約するならば
「弱い人間など、とっととおっちんじまえ」
て主張なのですが、それをついに政権公約として堂々と掲げ、圧倒的国民の支持を得た上で実現したのが小泉政権でした。

この医療関係での自己責任を言う人たちは、natural selection（自然淘汰）というダーウィニズムの用語を好んで用います。非モテ問題でも同様です。
ブサメンに女が寄りつかず、結婚できずに孤独死して行くのは自然淘汰で生物界の摂理だ、と。

しかし、こうなるともう、無政府でいいんじゃないのか？って感じがして来ますが、どうでしょうか？

ある掲示板で、ある名無しさんが、こんな書き込みをしたのを見たことがあります：

「自己責任主義は、獣の掟。」

名言と思います。

国民の代表（＝代議士）らが策を練って、弱い者がおっちなず、「誰も救ってはくれな」くない社会を作って行くのが、人間と獣との違いかと思うのですが、いま流行の自己責任主義で行くと、獣の世界と何ら変わるところがないのです。